目白からの便り

2025年 クリスマスに思うこと 希望と責任を果たす自分に

来週の22日の月曜日は、冬至である。一年で最も昼の時間が短い日であり、太陽の力が一番弱まる日である。翌日からは再び太陽の力が強まることから太陽が生まれ変わる日とも言われている。イエス・キリストが誕生したとされたクリスマスの時期はそうした新しく始まる可能性に期待が引き寄せられる時期でもある。クリスマスがこの日に定められたのも、古(いにしえ)の人たちが、闇の中の光として与えられた御子イエスキリストの生誕を冬至からの太陽の復活のイメージと重ねていたのであろう。そうした光と明るい変化の瞬間とその到来に期待を重ね合わせたのかもしれない。ユーミンの楽曲の「14番目の月」もなにか新しい出来事を待望する期待に溢れた曲で、その時が来るまでの時間をもう少し楽しませてほしいという気持ちにさせる。

この時期、毎年3つの古典的な映画を何度か観る。一つは、1938年の作品「クリスマス・キャロル」と1946年の作品「素晴らしき哉、人生」、そして1947年の作品「三十四丁目の奇跡」である。3つの映画ともモノクロの映画である。これらの映画を流し続けていると、次第にクリスマスの気分が体中に染み渡る。

「三十四丁目の奇跡」の物語で印象に残るいくつかの場面に、KRiS KRiNGLE(サンタクロース)が収監されているNEW YORK COUNTRY COURT HOUSE(ニューヨーク郡裁判所)に宛てられた膨大な励ましの手紙を郵便局の配送仕訳センターの管理者と思われるルーという人物が、宛先不明ではなく、裁判所への配送を指示した場面がある。人事屋としての性なのか、そうした言動に触れると思い出す言葉がある。「マネジャーは、仕事を正しく行うことが求められるが、リーダーは、正しいことを行うべきである」と、「Management is doing things right; leadership is doing the right things. Peter Drucker」。

私たちは普段はマネジメントを意識して仕事をしなければならない。仕事を基準に基づき、正確に、迅速に処理していくことが求められる。ただ、「この時」という場面では、リーダーとしての言動が求められる。それは、職場において管理的な役割を担っている否かではなく、人間としての品格ある言動でもある。映画の中では、配送センター責任者のルーがとった行為で、サンタは無事その存在を認められ、裁判所から解放される。この場面を観るたびに、自分自身も大切な「この時」には、ルーのような立ち居振る舞いが自然にできればと願う。

私のコラムでは、この時期、定番の題材がある。公立高校で英語教諭をしている妻がかつて、授業でつかったジョン・レノンのHappy Christmasを問題に使った小テストの引用。今年も、一年を彼の音楽を聴きながら振り返りたい。

So this is Christmas. And what have ( ㈰ ) done?
Another year over, a new one just begun. And so, this is Christmas, I hope you have fun,
The near and the dear one, the old and the young.
A very merry Christmas and a happy new year.
Let’s hope it’s a good one without any fear.

And so this is Christmas.
For weak and for strong.
For rich and the poor ones.
The world is so wrong.
And so happy Christmas.
For black and for white.
For yellow and red ones.
Let’s stop all the fight …………

And so this is Christmas
And what have (㈪)done?
Another year over. a new one just begun. And so, this is Christmas, We hope you have fun,
The near and the dear one, the old and the young.

そして、問いかけるようにフレーズが繰り返される。

(1971 John Lennon and Yoko Ono)

設問:㈰及び㈪の (  )内の適切な語句下記から選択せよ。【正解は後掲】
we / you

今年取り組んだ挑戦や失敗、そして後悔と、新しい年への希望、残り少ない最後の落ち着きどころを探しながらこの曲を何度も繰り返し聞く。彼の声に並び、子供たちの大切なメッセージの声が重なる。

「クリスマス・キャロル」や「素晴らしき哉、人生」、「三十四丁目の奇跡」の物語は、私達自身に希望を与える。一年が過ぎるのは本当に早い。自分の身の回りのことで精一杯になり、他の人のことを気遣う余裕もないあわただしさの中で時間が過ぎていく。毎年のことながら、この語彙選択は一年を振り返るのには意味深い。自分のことだけでなく、自分に近い人に愛情をもって振り返りを尋ねることは、きっと相手の一年を受容することにもなるし、励ましにもなる。今年も、まだもう少しだけ、太陽のように私たちが新しく希望をもつ自分に生まれ変われるだけの時間が与えられる。

Happy Christmas John Lennon

今日一日が良い一日となりますように、悲しみと困難、不安に向き合っている方に希望がありますように。良い週末をお過ごしください。新しく始まる一週間が皆様にとって豊かな一週間でありますように。

今年最後のコラム週報になります。どうぞ、良いお年をお迎えください。

2025年12月19日

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